「鷹の爪 おっとり聖四郎事件控(五)」井川香四郎著
普段は出張料理が専門の包丁人の聖四郎は、訳あって、仙台堀沿いの料亭「歳松」の花板を務める。急逝した先代の米八から、息子の駒吉を一人前の料理人にしてくれと頼まれたのだ。しかし、駒吉は修業に身が入らず、反抗的な態度を見せる。米八と駒吉は本当の父子ではなかった。
同じころ、自身番大家の松蔵が仙台堀をはさんだ商家から「歳松」を監視していた。抜け荷の探索をしている松蔵は、「歳松」が取引の場所ではないかと疑っているようだった。そんな中、店の近くの船着き場に荷船が激突。船には心中のように手足を結び合った男女の死体が転がっていた。(「いつわりの花」)
包丁も剣の腕前も冴えわたる聖四郎が悪党を両断する人気シリーズ。(光文社 640円+税)