「わが子に会えない」西牟田靖氏
厚生労働省の調査によると、2015年における日本の離婚件数は22万5000組にも上っている。
離婚は結婚の何倍ものエネルギーを要するといわれるが、何とか離婚自体が成立しても、簡単には解決に至らない問題もある。それは、わが子との面会だ。本書は、離婚を機に子供と会えなくなった父親18人のルポだが、つづられている現実はあまりにも重い。
「離婚を体験したシングルマザーの声など、母親側からの問題提起は数多い。一方で、父親側の声はなかなか拾われてこなかったように思います。実は私自身も離婚を経験していて、子供と会うためにさまざまな努力を重ねました。そうなってみて初めて父親が直面する問題を知り、彼らの苦悩を形にしなければと考えたんです」
男女同権といわれて久しいが、こと親権に関しては母親側に有利とされるケースが圧倒的。父親と子供の面会交流についても“1カ月に1度、2時間程度”という相場があり、個々の親子関係が考慮されることなく画一的な判断が下されがちだ。それでも、会える機会が与えられているのはマシな方である。本書の中でもとりわけ目立つのが、身に覚えのないDVで妻から追いつめられ、理不尽に子供と引き離される父親たちのケースだ。