「わが子に会えない」西牟田靖氏
「2001年にDV防止法が施行され、悲劇的な事態に対する抑止力となっているのも確かです。しかし、ひとたび女性が声を上げれば、DVが真実か否かを吟味する間もなく、男性が加害者と決めつけられる事態も起きています。痴漢冤罪の構図とも似たところがありますね」
本書に登場するHさんの妻は、保健所や警察署に通い、夫からの肉体的・精神的・経済的なDVに関する相談の実績を作っていた。
もちろんすべて嘘だが、役所は妻の言い分をうのみにし、子供を連れて黙って家を出た妻の居場所を、決してHさんに教えてはくれなかった。
別れさせ屋の入れ知恵でDV加害者に仕立て上げられたAさん、でっち上げのDVで留置所にまで入れられたMさんなど、本書には父親側としては納得しがたい事例が数多くつづられている。いずれも、離婚が成立してもなかなか子供に会うことがかなわないケースばかりだ。
「義両親が妻と子供を囲い込み、父親との面会を妨害するという事例も少なくありません。父親が子供と会うというごく当たり前のことが、離婚によってかなわなくなる。それが、法律や制度の偏りによって起きている点が問題ではないでしょうか」