夢の統合は消し飛びいまや解体の危機「岐路に立つEU」

公開日: 更新日:

「問題は英国ではない、EUなのだ」エマニュエル・トッド著、堀茂樹訳

 日本でも知名度の高いフランスきっての現代知識人が説くグローバリゼーション批判。

 グローバル化の牽引役は英・米。ところが英はEU離脱、米はトランプ政権と牽引役自体が反グローバル化に舵を切っている。彼らは「30年間にわたって歯止めなき個人主義をプロモーションした果てに、ネオリベラリズム的であることに耐えられなくなっている」。

 自由競争を説くネオリベだが、英・米はポーランド人やメキシコ人移民労働者の大量流入に恐怖を感じ始め、制度疲労を起こしている。学問的な世界でもかつて米国の学界は世界の多様性に目を向けていたが、いまや経済学偏重で狭い視野しか持てない。

 英・米的価値観とは異なる立場からの鋭い文明批判。(文藝春秋 830円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  4. 4

    永野芽郁は大河とラジオは先手を打つように辞退したが…今のところ「謹慎」の発表がない理由

  5. 5

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  1. 6

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  2. 7

    威圧的指導に選手反発、脱走者まで…新体操強化本部長パワハラ指導の根源はロシア依存

  3. 8

    ガーシー氏“暴露”…元アイドルらが王族らに買われる闇オーディション「サウジ案件」を業界人語る

  4. 9

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  5. 10

    内野聖陽が見せる父親の背中…15年ぶり主演ドラマ「PJ」は《パワハラ》《愛情》《ホームドラマ》の「ちゃんぽん」だ