「カクレキリシタン」宮崎賢太郎著
長崎で今も「カクレキリシタン」信仰を守る人々の現地調査を続けてきた著者によるリポート。
一般的に隠れキリシタンとは、江戸幕府による禁教令によって1644年に最後の宣教師を失った後も、生き残るために仏教徒であることを受け入れながら、信仰を貫いてきた人々を指す。
しかし、1873年に禁教令が解かれ、信仰の自由が認められた後もカトリックとは一線を画し、潜伏時代から伝承されてきた仏教や神道と結びついた信仰形態を組織的に続ける人がいた。こうした人々を「カクレキリシタン」と定義。彼らはもはや隠れてもいなければ、キリシタンでもないという。
伝統的な宗教観と融合して独自の民俗宗教となったその知られざる信仰世界を案内してくれる。
(KADOKAWA 1160円+税)