「人と会う力」岡崎武志著
2017年、座間で、SNSのやりとりだけで容疑者と知り合った男女9人が殺された事件に「旧人類」の著者は「恐怖」を覚えた。実際に生身の人間と「会う」ことからいろいろなことが始まるのだ。気が弱くて地味な少年だった著者は何回か転校したが、転校は「新しい自分」になれるチャンスなのだ。「いじめ」や「大きな失敗」も転校で帳消しにできる。また、「気が弱い」という負性を捨ててはいけない。大橋巨泉のように自説を曲げない人ばかりでは会話は成り立たない。人の意見に反対しないし、人の話を遮らない気の弱い人の存在が社会を生きやすくするのだ。
生身の人間と出会うことの大切さを考えるエッセー。
(新講社 1600円+税)