「大化改新の黒幕」小林惠子著
古代史上最大の事件のひとつ「大化改新」の真相に迫る歴史エッセー。
日本書紀は、645年に中大兄皇子と中臣鎌子(鎌足)が天皇をないがしろにしていた蘇我一族の入鹿を暗殺したと記す。
この「乙巳の変」後に即位したのは、蘇我氏滅亡の功労者である中大兄ではなく、彼の母親・斉明天皇の異母弟と称する孝徳天皇だった。孝徳の父親は書紀にその名が見当たらず、なぜこのような出自不詳の人物が即位できたのか著者は疑問を投げかける。
さらに661年、中大兄は唐から百済を奪還すべく出兵する(白村江の戦い)が、なぜ倭国の皇太子が百済の再興を志したのか。明治時代に「大化改新」と名付けられた乙巳の変に始まる一連の社会改革を、東アジア全体に関わる政変として読み解く。
(祥伝社 860円+税)