「まむし三代記」木下昌輝著
馬借一揆で両親を亡くした11歳の源太は、「越中公方の手の者」だと称する男に集められた荒くれ者の中にいた。その男は「お主らに殺ってもらいたい男は、細川京兆だ」と告げた。細川京兆とは、応仁の乱の東軍主将、細川勝元の後を継いだ細川政元である。男から前金を受け取った者の中に、法蓮房(斎藤道三の父)という僧体の男がいた。源太が「どうして、こんな危険な仕事に応じたんだ」と尋ねると、法蓮房は「上医は国を医(いや)し、中医は人を医し、下医は病を医す」と言い、「国を医す上医を国手という」と教えた。細川政元暗殺が国手になることになぜつながるのか……。
〈国滅ぼし〉と呼ばれた兵器を集めて戦国を生きた斎藤一族三代を描く。
(朝日新聞出版 1800円+税)