「伊勢物語 在原業平 恋と誠」髙樹のぶ子著

公開日: 更新日:

 平安時代の歌物語「伊勢物語」の主人公は、希代のプレーボーイ、在原業平とされている。しかし、著者は彼が残した歌から伝わる深い真情からは、どうしてもそうは思えず、1000年以上も間違ったイメージで語られてきたのではないかという。伊勢物語を読み込みながら、そんな業平の素顔に迫る古典ガイド。

 最初の恋である春日野の姉妹、親子ほど年が離れた西の京の女など、業平が出会った女性たちから学んだこと、そしてその心の襞(ひだ)を読み解く。すると、女性に寄り添い、女性の身になって受けとめる感性を備えた業平は、単なる好色ではなく、そこに「きよらかなあはれ」があったという。その「きよらかなあはれ」こそ平安の雅の本質であり、現代にも通じる「誠」の姿なのだと著者はいう。

(日経BPマーケティング 850円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ吉井監督が佐々木朗希、ローテ再編構想を語る「今となっては彼に思うところはないけども…」

  2. 2

    20代女子の「ホテル暮らし」1年間の支出報告…賃貸の家賃と比較してどうなった?

  3. 3

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 4

    「フジ日枝案件」と物議、小池都知事肝いりの巨大噴水が“汚水”散布危機…大腸菌数が基準の最大27倍!

  5. 5

    “ホテル暮らし歴半年”20代女子はどう断捨離した? 家財道具はスーツケース2個分

  1. 6

    「ホテルで1人暮らし」意外なルールとトラブル 部屋に彼氏が遊びに来てもOKなの?

  2. 7

    TKO木下隆行が性加害を正式謝罪も…“ペットボトルキャラで復活”を後押ししてきたテレビ局の異常

  3. 8

    「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上

  4. 9

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  5. 10

    松たか子と"18歳差共演"SixTONES松村北斗の評価爆騰がり 映画『ファーストキス 1ST KISS』興収14億円予想のヒット