オンラインの時代だからこそ文章力を鍛える

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「ビジネス文章力の基本」奈良正哉著

 コロナ禍でオンラインによるコミュニケーションが増えているが、微妙なニュアンスが伝わりにくいという弊害もある。そこで重要性を増しているのが文章力。ビジネスにおいても、またSNSでも伝わりやすい文章が求められている。今回は、そんな時代に役立つ、文章力を鍛える5冊をピックアップした。



 みずほ信託銀行の執行役員を経て弁護士となった著者が身につけた、ダメ出しされないビジネス文書を作る77のルールを紹介。

 まず大切なのが、「読み手を意識して書く」ということ。文書が稟議書であれば、読み手は稟議事項の決裁者であるため専門的な文書でよい。しかし、全社員に向けた社内通達であれば、読み手は社長から新入社員、派遣社員まで含まれる。その場合は、知識のない人を基準にして優しい言葉で文書を作成する必要がある。

 その文書が読まれるとき、「黙読」か「音読」かも意識する必要がある。例えば、「米国拠点(アラスカ州とハワイ州を除く)は閉鎖される」という一文。黙読ならこれでいいが、プレゼン資料などとして音読される場合、カッコをどう読もうか迷いが生じる。音読される文書はカッコを使わず「アラスカ州とハワイ州を除き米国拠点は閉鎖される」と書くのが良い文書だ。

(日本実業出版社 1540円)

「文章の鬼100則」川上徹也著

 正確な文章を書くのは当然のことながら、ビジネスマンなら“働く文章”を書きたい。これは、仕事で対峙する相手の心を動かす文章のことだ。本書では、そんな働く文章を書くための100の奥義を解説している。

 例えば、「常識を反転させる」という手法。人間は意識するしないにかかわらず常識的な考えに支配されている。そのため、自分の常識と違う文章を見ると「なぜ?」と興味が湧く。営業ならば、一般的には何かしらの売り込みをかけるのが常識だが、これを反転させて「営業せずに営業する方法をご提案します」とすれば、その先の文章を読んでみたくなるというわけだ。

「目指す場所を明確にする」という手法も、シンプルながら読む人を引き付ける。ビル・ゲイツが19歳で起業した際に掲げた「すべてのデスク上と家庭内にコンピューターを」がその代表例だと本書。

 働く文章はできるビジネスマン最大の武器だ。

(明日香出版社 1650円)

「バズる書き方」成毛眞著

 SNSの普及により「1億総書き手時代」となっている。しかし、書評サイト「HONZ」代表の著者は、短文とはいえ“バズる発信”のためにはある程度読ませる文章を書く力が必要だと説く。

 とくに気を付けたいのが細部のディテール。例えば、「助詞遣い」だ。「これ面白い!」か「これは面白い!」か。「北海道行きたいなぁ」か「北海道に行きたいなぁ」か。こうした助詞の有無は文章のリズムを左右するため、どう使うかを常に気を付けておくとよい。

 歯切れのよい文章を書きたいならば、余計な修飾語はあまり入れないことも心掛けたい。その代表格は副詞的な修飾語で、「とても」「すごく」などを指す。「すごく驚いた」なら、「驚愕した」の方がいいし、もう少し砕けさせたいなら「たまげた」「びっくらこいた」などもいい。

 バズらせたいならひと言で表現した方がストレートに伝わり、キレのある文章になるのだ。

(SBクリエイティブ 990円)

「【超実用】好感度UPの言い方・伝え方」石原壮一郎著

 人間関係がうまくつくれない、周りに誤解されやすい……。そんな悩みを抱えているなら、言葉の使い方を見直してみよう。本書では、「頼む」「怒る」など10のシチュエーション別に、お勧めのフレーズを紹介している。

 部下に仕事を頼む際、上司だからといって“やって当たり前”の態度で押し付けてはよい人間関係は築かれない。メモにひと言「忙しいところ悪いけれど」「いつも頼りにして申し訳ないが」などと添えるだけで、相手への気遣いが表現でき仕事が円滑に進む。

 期日を過ぎても商品や書類が届かず、問い合わせても、そば屋の出前状態なら怒りを伝えてよい。その場合、ソフトに伝えたいなら「何度もご連絡して申し訳ありませんが」、しっかりと怒りを表現したいなら「何度もご連絡して不本意ではありますが」とするのがよい。

 文章でのコミュニケーションにも役立つ言い回しが学べそうだ。

(ワン・パブリッシング 770円)

「三行で撃つ」近藤康太郎著

 文章は最初の一文、長くても3行程度の間に心を撃たなければ、浮気な読者は続きなど読んでくれないと、元新聞記者の著者。あなたが多くのファンを持つ大作家でない限り、読者はあなたに興味がなく、またあなたが書こうとする文章のテーマなどどうでもいい。そのような状況の中で、SNSや企画書などの文章を完読させたいならば、書き出しの3行には最大のインパクトを込めることが重要だ。

 また、“うまい文章”を書こうとすると技巧に走るという間違いを犯しがちだ。しかし大切なのはごくシンプルなことで、①文章は短く②形容語と非形容語はなるべく近づける③ひとつの文に主語と述語はひとつずつという3つを守ること。すなわちうまい文章とは、分かりやすい文章と心得よと本書。

 他にも、リズム感を意識する、「抜けるような青い空」などの常套句は文章をつまらなくするなど、読ませる文章術が満載の実用書だ。

(CCCメディアハウス 1650円)

【連載】ザッツエンターテインメント

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