「江戸問答」田中優子、松岡正剛著
江戸時代・江戸社会の特質に改めて注目しながら、現代の日本社会を見回し、その可能性を考える対談集。
冒頭、平成から令和への改元が話題に。かつて改元は天皇の代替わりだけでなく、いろいろな理由で行われていた。ゆえに田中氏は「江戸時代の人たちが今回の改元の盛り上がりを見たら驚く」だろうという。その上で江戸時代に比べると「近現代こそは天皇制の国」で、江戸から現代を見て不思議なのは「デュアルや多様性の豊かさを認識せずに、単一な社会像へ行きたがること」だと指摘する。続いて、現在の日本人の生活のなかにも残っているはずの江戸の「面影」を求め、2人の個人的な体験を語り合う。
「浮世」や「サムライ」「いき」などをテーマに縦横無尽に語りつくす。
(岩波書店 1100円)