「スタミナ深夜食堂」安倍夜郎、左古文男著
映画やドラマにもなった人気漫画「深夜食堂」では、歌舞伎町の「めしや」を舞台に、マスターの提供する料理が事情を抱えた客たちを癒やす。
その著者の安倍氏と、同郷の左古氏が、漫画のように「ひと口食べただけでも、腹の底から元気が湧いてくるような」料理を出してくれる店を紹介するグルメガイド。
まずは「魚介料理の名店」が9店。そのひとつ東京・新大橋の「才谷屋」の名物は、滋養強壮に欠かせない栄養素の宝庫で、貧血防止や体力回復にはもってこいの「鰹タタキ」。
提供されるカツオは、土佐伝統のカツオの目利きである「七代目亀次郎」が厳選して急速冷凍した極上品。タタキは藁の炎で皮目を瞬時に焼き上げ生臭さを消す調理法だが、「上質なカツオは刺し身か、皮目をパリッとする程度にバーナーでサッと炙ったタタキが一番」だとあえてバーナーを使う。素材工学の研究者でもある店主が、亀次郎氏らと共同開発した解凍機によって、同店では一年中釣り上げたときと同じ鮮度のカツオが食べられる。
続いて、スーパーフードの自然薯のとろろがたっぷりと入った鍋が食べられる山芋・自然薯の専門店「裏恵比寿 自然生村」(東京・恵比寿)や、スッポンフルコースが食べられる「あぐら亭」(横浜・野毛町)など「スタミナ食材の名店」が8店。
さらに、食べたらカツ丼の概念が覆されるという「とんかつ 鈴新」(東京・荒木町)の「かけかつ丼」や、鶏のレバーとハツを使った「元祖!純レバ丼」の「銀座ホール」(東京・北砂)など「肉料理の名店」が9店。東京と横浜エリアの26軒を網羅する。
合間には、著者2人の対談や、描き下ろしを含む、各料理にちなんだ「深夜食堂」が6作も収録されており、1冊で何度もおいしいおすすめ本。
(小学館 1210円)