「深尾くれない」宇江佐真理著

公開日: 更新日:

 かのは初婚だが、訳あって、鳥取藩士・深尾角馬の後添えの内妻となる。角馬は馬廻(うままわり)の平士だが、父親の代から藩の剣法指南役を引き受けており、一目を置かれる存在だった。

 嫁いだ日、かのは深尾家の庭で見事な花を咲かせる牡丹に目を奪われる。付き添いの伯父によると、牡丹は角馬が丹精したものだという。共に暮らす中、かのは己の体格に劣等感を抱く角馬が人一倍の反骨心を秘めていることを知る。極めた丹石流が時代遅れになったことを思い知らされた角馬は、新たな流儀「雖井蛙流(せいありゅう)」を打ち立てる。一方のかのは、角馬が不義を犯した前妻を斬り殺したことを耳にする。

 2人の妻、娘の縁談相手の父子を斬り殺した実在の武士・角馬の壮絶な人生を妻と娘の視点から描いた長編時代小説。

(朝日新聞出版 880円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊川怜の元夫は会社が業績悪化、株価低迷で離婚とダブルで手痛い状況に…資産は400億円もない?

  2. 2

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  3. 3

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  4. 4

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  5. 5

    斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑

  1. 6

    渡辺裕之さんにふりかかった「老年性うつ」の正体…死因への影響が報じられる

  2. 7

    水卜ちゃんも神田愛花も、小室瑛莉子も…情報番組MC女子アナ次々ダウンの複雑事情

  3. 8

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  4. 9

    菊川怜は資産400億円経営者と7年で離婚…女優が成功者の「トロフィーワイフ」を演じきれない理由 夫婦問題評論家が解説

  5. 10

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”