「九龍城の殺人」月原渉著
198X年、18歳の風は、亡母の遺骨とともに香港に降り立つ。生前に聞いた話によると、母は19年前、風姫と呼ばれる非合法組織の長である祖母シェリーと対立して香港を飛び出したらしい。シェリーに遺骨を渡した風は、またいとこのシャクティの力を借り父親を捜す。
一方でシャクティからホンファを紹介される。貧民街でボランティアをするホンファは風姫からの支援を期待しているようだが、風には何もできない。数日後、シャクティの部屋を訪ねると本人は不在で部屋が荒らされていた。手掛かりは切り取られた1本の指だけ。ホンファの指のようだ。2人を心配した風は、彼女らを襲ったと思われる組織の拠点がある九龍城に単身で乗り込む。
男子禁制の魔窟内で起きる連続殺人事件を描いた長編ミステリー。
(新潮社 781円)