「罪と祈り」貫井徳郎著
元警察官の辰司の遺体が隅田川で見つかった。西浅草で両親と同居中の息子・亮輔は、捜査を担当する幼馴染みの賢剛から他殺の可能性があると聞き、耳を疑う。
改めて辰司について質問された亮輔は、自分が父親のことを何も知らないことに気づく。思い返すと辰司は何か秘密を抱えて生きていたような気がする。母親によると、以前の辰司はもっと明るくよく話す人だったという。そんな辰司が変わったのは、親しかった賢剛の父親・智士の死がきっかけだったようだ。
智士の死は自殺で、当時、幼かった賢剛にとっても辰司は父親のような存在だった。辰司が抱えていた秘密を知ろうと、亮輔は父親の知人らに話を聞いて回る。
亮輔と賢剛、若き辰司と智士、2つの物語が並行して進むミステリー。 (実業之日本社 957円)