「51のデータが明かす日本経済の構造」宮本弘曉著
象徴的な51の各種国際統計・データから日本経済停滞の理由を明らかにする経済テキスト。
世界中を悩ますインフレだが、日本のインフレ率は欧米諸国に比べるとはるかに低い。これは今に始まったことではなく、この20年、日本の物価がおおむね0%成長だったのに対し、海外は約1.5倍に。賃金も日本は25年ほぼ横ばいだが米英は約1.4倍になっている。
岸田首相は格差や気候変動の問題に対処する「新しい資本主義」を提唱するが、実は日本の格差はこの20年それほど広がっておらず、所得が全体的に落ち込む「共同貧困」に陥っているという。
こうした物価や賃金、企業経営と労働などのデータから、日本の経済構造が「未熟な資本主義」であると指摘し、そこからの脱却の処方箋を示す。
(PHP研究所 1056円)