「アフター・アベノミクス」軽部謙介著
2012年に首相に返り咲いた安倍氏は、経済政策「アベノミクス」で長期低迷からの浮上を図った。
しかし、在任中に目標の物価上昇率2%に達することはなかった。当初アベノミクスの看板となった「デフレは貨幣的な現象なのだから、金融緩和で克服できる」としたリフレ派の主張は、消費税引き上げで「デフレ脱却の勢いがそがれた」と変化し、今は「財政出動でもデフレは解消できる」と積極財政に変節。安倍氏自身も途中から金融政策に興味を失い、財政政策へ傾斜した。
しかし、日銀に低金利を演出させ、歳出を拡大させたこの政策の副作用は、まだ明らかになっていない。
アベノミクスの構造変化を検証しながら、異次元と言われたこの経済政策の「その後のその後」を描くリポート。
(岩波書店 968円)