レファレンス知識がビジネスマンに大ウケ
小林昌樹著「調べる技術」(皓星社 2200円)が、7回の増刷を経て累計3万部を突破し、話題になっている。
よく調べ物をする人に向けて、元国立国会図書館司書である著者が技術を明かした本書だが、なぜ、多くの読者を獲得しているのだろう。
「予想外でしたが、ビジネスマンの方から好評なんです。研究者や翻訳家が対象だと思っていましたから。紙の本だけでなく、インターネットの活用方法を解説したのがビジネスマンにも響いたようです」(編集者)
司書の調べ物ノウハウを開陳し、一般の検索エンジンでは見つからない情報をデータベースにアクセスし、探し出す方法を紹介するのが本書の特徴。
たとえば、「アメリカの出版界」について知りたいとする。そんなときは「NDL ONLINE」という国立国会図書館のデータベースで「アメリカ 書店」と検索。すると「アメリカの書店」というぴったりなタイトルの本がヒット。ここまでならほかの検索エンジンと大差ないが、データベースでは「詳細な書誌情報」を表示できる。
開くと、本の内容を単語で表した「件名」の欄に、「書籍商 アメリカ合衆国」と分類されている。この件名のリンクに飛ぶと、さらに3冊の本を発見でき、元の検索ワードでは見つからない「経済貿易動向等調査レポート」まで探し出せた。
本書はほかにも、漫画家についての論文を探すときは国文学のデータベースを使う、「全米が泣いた」というフレーズの初出はGoogleブックスで検索する、などのコツを紹介。市場調査やプレゼン資料作成など、ビジネススキルの向上も図れそうだ。