(33)貸本屋が何の用だい
ぐいぐい、トントン、ぎゅっぎゅっ──蔦重は肩を揉み、腰を叩いたついでに膝の裏を強く押した。
仕入れ先の本屋が集まる日本橋界隈と吉原は片道一里。重い荷を担ぎ廓の中をくまなく二里は歩く。貸本屋稼業は指折り数えて三年目、慣れたとはいえ夕刻には身体が悲鳴をあげる。
「だけ…
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