「未来への遺言」前田浩智、砂間裕之著
「未来への遺言」前田浩智、砂間裕之著
保阪正康は毎日新聞主筆の前田浩智に、1997年にソ連崩壊後のロシアに行ったときの体験を語った。同年配の共産党やKGBの人間に「どこの戦争に行ったんだ」と聞かれ、「戦争に行ったことはない」と答えると、相手は驚いて、日本には軍隊があるじゃないかと言った。だが、日本は戦後、79年、戦争をしていない。
アメリカの研究者、ピーター・ウエッツラーはベトナム戦争に行って学費を稼いだが、その戦争体験がトラウマになっている。現代の日本人がそういう精神的負担を持たないことは、歴史の使命感を与えられているということではないかと保阪は言う。
ほかに、一般の人びとの戦争体験を収録。
(晶文社 1980円)