「何のために生まれてきたの?」 やなせたかし著
「何のために生まれてきたの?」 やなせたかし著
「アンパンマン」の生みの親が死の前年、93歳のときに応じたインタビューをまとめた人生論。
がんも経験し、腎臓も片方摘出するなど体は満身創痍だが、「物事は後ろ向きに、いくら考えてもしょうがない。というか、そういうふうに思うようにしているわけ。悪いほうへ悪いほうへ考えてしまいがちでしょ。だから、無理に考えないようにするんだ。すると、なんらかの状況は変わってくるもんですよ」と説く。
ほかにも、おしゃれについてなどの日々の生活の心構えから、5歳のときに亡くなった父への思い、そして兵士として戦った戦争体験から真の正義とは「ひもじい人を助ける」ことという考えに至った経緯まで。
長い下積み体験にも触れて、作品を貫く哲学を語り尽くす。 (PHP研究所 880円)