(80)耕書堂の黄表紙、分けてくれ
最後の荷を大八車に積む。
蔦重は前垂れをはたいた。とせも姉さん被りの手拭いをとる。重三郎は爪先立ちになり、ほつれ毛を直してやった。とせは首筋まで赤らめる。
「うれしいけど恥ずかしい」
重三郎も照れ笑い。
「誰もみてなかったかな」
安永九年(一…
この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。
(残り1,379文字/全文1,519文字)
【ログインしていただくと記事中の広告が非表示になります】