「わからないままの民藝」朝倉圭一著
「わからないままの民藝」朝倉圭一著
「民藝」という言葉は大正15(1926)年に柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司らがつくった言葉で、ありふれた生活道具のもつ美を表す言葉である。当時は日本の各地に地域の文化や素材を生かした個性豊かな「ものづくり」があった。
ラーメン屋の店長をしていた朝倉は、ある日、書店で、表紙に「メード・イン・ニッポン!」と書かれた雑誌を手に取る。そこには日本の工芸品が紹介されていた。そのとき、初めて「民藝」がものづくりに関わる言葉だと知った。
やがて朝倉は、自分が生まれた飛騨高山で、民芸品を扱う店、「やわい屋」を開く。「やわい」とは飛騨の方言で「支度」を意味する言葉であった。この言葉には、物事に対する謙虚で丁寧な姿勢が感じられる。
民芸品に魅せられた店主の日常をつづったエッセー。
(作品社 2970円)