片づけ、防犯、空き家問題…実家のお悩み解決本特集
「実家片づけ」石阪京子著
両親の老いと共に大きな問題となってのしかかってくるのが実家の悩み。住まいのバリアフリー化や整理整頓、そして両親亡き後実家を空き家にしていいのかなど、考えるべきことが増えてくる。そこで今回は、避けては通れない実家のお悩み解決に役立つ4冊をピックアップした。
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「実家片づけ」石阪京子著
“実家がモノだらけ”というのは珍しいことではないが、片づけを先延ばしにするといざというとき子ども世代に大きな負担となる。本書では、片づけアドバイザーの著者が実家片づけの基本ルールを解説している。
片づけが進まない理由の9割が親世代の反対。「もったいない」「いつか使う」とモノを捨てることを拒むのだ。しかし、この気持ちを全否定すると片づけに対して断固拒否の姿勢となりかねない。また親が亡くなってからでは大事なモノの場所が分からず、片づけの時間も手間も倍増する。
そこで、「掃除が簡単になるよ」など利点を説明したり、「地震がおきたとき転んじゃうよ」と危機感をあおるなど、具体的に片づけのメリットを説明することが重要だと本書。
生活に近いキッチンから着手すると快適さが実感でき片づけが進む、思い出の品はすぐに捨てずにまず仕分けするなど、片づけがスムーズに進む極意が学べる。
(ダイヤモンド社 1540円)
「シニアの命と財産を守る 実家の防犯 110のコツ」梅本正行、桜井礼子監修
「シニアの命と財産を守る 実家の防犯 110のコツ」梅本正行、桜井礼子監修
闇バイトによる高齢者宅を狙った強盗など凶悪事件が多発している。住まいの防犯のコツを解説する本書を参考に、改めて実家の防犯を強化したいものだ。
まずは基本として、玄関や窓などすべて2ロックを徹底すること。侵入に5分以上かかる家を犯人は諦めるというデータがあるためだ。窓はガラスの中央を割りクレセント錠を開けて侵入されるケースが多いが、上部と下部に補助錠をつけることで侵入しにくくなる。
同じ理由で、通帳や貴金属などの貴重品は分散して保管すること。物色に時間がかかるほど犯行を諦めるケースが多いためだ。
また、インターホンは門扉につけるのが理想。玄関扉横にある場合、来客がチャイムを鳴らすために敷地内に入る形になる。すると、周囲が不法侵入を疑いにくくなり、犯罪リスクが高まってしまうのだ。
転倒など自宅内での事故を防ぐコツも紹介。安全安心な実家づくりに役立てたい。
(ナツメ社 1320円)
「65歳からの長寿の家のつくり方」天野彰著
「65歳からの長寿の家のつくり方」天野彰著
高齢の両親が安全で快適に暮らせるよう、実家のリフォームを検討する人に役立つヒントを提示する本書。
安全な家と聞いて真っ先に思い浮かぶのがバリアフリー。玄関の上がり框や小上がりの和室との大きな段差を気にする人も多いが、シニアでもはっきりとした段差は見誤りにくく、転倒事故という点からいえば安全なのだと本書。逆に、シニアは小さな奥行きや高さを認識しにくくなるため、畳と敷居との間など1センチ程度の小さな段差をなくすリフォームが望ましいという。
多くの場合、階段には手すりがついているものだが、シニアにとって理想は両側についていること。上るときも下りるときも利き手側に手すりがあるよう、多少狭くなっても両側に取り付けるのがベストだ。
握力低下に対応するためドアの丸ノブをレバーハンドルに替える、介護者も入れるようトイレは大きくつくるなど、ライフスタイルに合わせて実家の未来を考えたい。
(さくら舎 1980円)
「親の家が空き家になりました」葉山由季著
「親の家が空き家になりました」葉山由季著
全国の空き家は実に900万戸。理由はさまざまあろうが、両親の他界によって子ども世代が実家を持て余し空き家となるケースも少なくない。本書はそんな空き家問題を題材にした小説だ。
主人公の佐々木瞳は50代の主婦。兵庫県で夫と2人暮らしをしていたところ、母が実家の階段から転落しケガをしたという知らせを受ける。父は10年前に他界しており、東京で働く兄と美容サロンを経営する姉は頼りにならない。瞳は母を自宅に引き取り、同居することを決意する。
ところが3年後に母が急死。遺言書を開封すると、自宅の土地と建物は売却して現金化し、2分の1を瞳に、残りを兄と姉に相続させることが記されていた。この相続を巡り兄姉とは決裂し、遺言執行者に指定されていた瞳が実家の整理を行うことになる。
残された大量のモノ、売れない実家の問題のほか、SNSを駆使した情報収集といった“今”の実家・空き家問題がリアルに描かれていく。
(潮出版社 1870円)