へぇーそうなのか…イマドキの言葉本特集

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「言語学者も知らない謎な日本語」石黒圭、石黒愛著

 ひと昔前に比べて日常的に目にする言葉の量は膨大だ。そのため理解できないままスルーする言葉や、発信しても埋もれてしまう言葉も日々山のように増えている。そこで今回は、言葉に関するおもしろ本を紹介しよう。



「言語学者も知らない謎な日本語」石黒圭、石黒愛著

「豆腐メンタル」「モブ」など、若者世代が仲間内で使っている日本語をご存じだろうか? 本書はこれらの言葉に悩まされている50代の言語学者の父が、大学生の娘に質問しながら、その意味や使い方をひもといていく若者言葉解説の書。

 たとえば、買い物にジャージー姿のまま行くのは「なしよりのなし」=絶対にあり得ず、対義語は「ありよりのあり」だと娘は父に答える。ややこしいのが「ありよりのなし」と「なしよりのあり」で、解説によれば「ありよりのなし」は、「ありに近いなし」で、「なしよりのあり」は「なしに近いあり」なのだとか。

 若者名詞、若者造語、若者略語、若者接続詞など、その種類を分類しながら若者言葉初心者に寄り添った構成になっているのもミソ。意外な奥深さに若者言葉の沼にどっぷりハマってしまいそう。 (教育評論社 1980円)

「超タイトル大全」東香名子著

「超タイトル大全」東香名子著

 ウェブ上にさまざまなコンテンツがあふれている今、会社のリリースにせよ、個人発信の記事にせよ、読まれるものを書くためには、読者から「発見してもらう」ことが重要だ。そこで不可欠なのが「タイトル」。女性サイトの編集者として、記事タイトルを工夫することでPV(ページビュー)を650倍にした経験を持つ著者が、バズるタイトルを作るコツを本書で教えてくれる。

 たとえば、読み手にとって負担がないタイトルの長さは約2秒で読める21文字であり、読み飛ばされないためには、特に最初の9文字に読者が気になる言葉を入れられるかどうかが勝負だと著者はいう。

 ほかにも数字を入れる、解決感やお得感を出す、意外性を狙う、セリフを入れる、警戒心を促すなどのテクニックも紹介。添削例や今すぐ使えるテンプレートも活用できる。 (プレジデント社 1870円)

「ささる 引用フレーズ辞典」堀越英美著

「ささる 引用フレーズ辞典」堀越英美著

 さまざまな場面で何度も引用される名フレーズがある。本書は、古今東西のそんな名言を集めた引用フレーズ集だ。人生、心、恋愛、文化、季節などの13のテーマごとに870以上の引用文を解説。よく知られたフレーズから、掘り出し物の海外のことわざに至るまで、なるほどと思わせる名句を紹介している。

 アランが幸福論で「悲観は気分、楽観は意志」と記せば、カフカは「朝の希望は昼すぎには埋葬される」とバッサリ言い切る。

「愛嬌と云うのはね、自分よりも強いものを斃す柔かい武器だよ」と夏目漱石が「虞美人草」で語る一方で、江戸時代末の大名・松平宗武は「世間渡るハ豆腐が手本まめで四角で柔らかく」と処世術を説く。

 気に入ったフレーズがあったら原作を読み直すのもまた一興かも。 (笠間書院 2090円)

「いい音がする文章」高橋久美子著

「いい音がする文章」高橋久美子著

 ロックバンド「チャットモンチー」でドラムをたたき、作詞経験もある著者が、「音」という視点からさまざまな種類の文章の味わい方と書き方を指南したエッセー集。

 黙読過多になりがちな今の時代、音としてのリズムや体感を持つ言葉を探ることを改めて意識させてくれる。「自分の音が出せている文」とそうでない文は何が違うのか。SNSなど手軽に自己表現できる手段がたくさんあるからこそ、つい「いいね」目的の表現を追い求めがちになるが、意味だけを求めて言葉を論理化すればするほど、言葉本来の輝きが消えてしまう。

 自分の音を探すための方法として、人に見せることを意識して書こうとせず、まずは好きな作家を見つける、音読する、言葉のリズムを意識する、日々の小さな物事を短文の日記で書いてみるなどを勧めている。 (ダイヤモンド社 1870円)

【連載】ザッツエンターテインメント

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