渡部建様「横道世之介」主人公の生き方を参考にしてほしい
映画パーソナリティー&映画心理カウンセラーのコトブキツカサが“今、旬な”人々に映画を処方して、より良い日々を送っていただこうという勝手なコラム。
グルメなどの趣味を武器に、MCの地位まで上り詰めたお笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建氏。僕も同世代で、昔はコンビを組んでいて、相方の児嶋さんとはマージャン仲間だっただけに、児嶋さんのラジオ謝罪は胸が締め付けられる思いでした。
そんな渡部建氏に処方したい映画は、沖田修一監督の「横道世之介」です。長崎から大学進学のため上京してきた横道世之介(高良健吾)は極端なお人よし。社長令嬢の祥子(吉高由里子)に振り回され、周りが心配するほど。損得を考えず、人が困っていたら自分のことのように悩み、金を無心されると訳も聞かずに貸してしまう。世之介は人のために愚直に生きているからこそ、皆に慕われる存在でした。
3、4年前、テレビ局で久しぶりに渡部氏にお会いした際、僕が挨拶すると帽子を取って会釈してくれたものの、目が合うことはありませんでした。視線の先は僕の後ろにいるスタッフさんで、彼らにアピールしているようで寂しかった思い出があります。芸能界での成功を目標に努力を惜しまず、結果を出したという点でもくろみ通りのキャリアを掴んだかもしれません。しかし今回、批判する人はいても、ほとんど渡部氏をフォローする人が現れないということは、本当の人間関係を築いていたのでしょうか。むしろ“そろばんずくな姿”が狡猾に映っていたのかもしれません。