松本穂香「すぐ近くにいる謎の女性」風の“くせ者”感が魅力
素顔の彼女は、ちょっとミステリアスだ。マイペースで、おっとりして見えるタイプだが、ほかの同世代の女優とはひと味違うアーティスティックでラジカルな一面を秘めた「隠れ個性派」ともいうべき女優。
取材したときに聞いたところによると、彼女にとっての「日々の楽しみ」は、毎日必ず新ネタを配信しているジャルジャルの漫才やコントをユーチューブで見ることだという。好きな芸人を聞くとその人の嗜好がわかるものだが、「ジャルジャル」というセレクションに彼女がくせ者だということを示す。
これまでの出演作を見ても個性的な役柄が多く、「ひよっこ」もよく食べるユニークな女の子の役だった。しかし、サブカル系のような、とんがったイメージは彼女にはない。
個性的な役だけでなく、けなげな料理人を好演した「みをつくし料理帖」や等身大の女子高生を演じた今回の「君は彼方」のような王道のヒロイン像も魅力的に演じる。マニアックな役柄に偏りすぎないところが、広末涼子・戸田恵梨香・有村架純ら多くの女優を主演級に育てた所属事務所フラームの戦略の巧みさでもある。
謎めいているけど、遠い存在ではなく親しみやすい。毎日、通勤電車の同じ車両で一緒になるOLのような、「すぐ近くにいる謎の女性」系の雰囲気が魅力的な女優だ。
(つづく)