小山田圭吾が一生涯背負う“十字架”と本当の謝罪 障害者の父親は「謝っても許されない」と強い憤り

公開日: 更新日:

「私がご依頼をお受けしたことは、様々な方への配慮に欠けていたと痛感しております」――。

 過去の雑誌インタビューで障害がある同級生らに対して筆舌に尽くしがたいいじめや差別行為を行っていたことを笑いながら告白していたことが明らかになった小山田圭吾(52)。そんな人物が東京五輪パラリンピックの開会式の作曲担当と発表になるや、小山田批判の声は瞬く間に強まり、19日午後になって自身のSNSで辞任を発表。冒頭のように謝罪したが、森前五輪組織委会長の女性蔑視発言、女性タレントのブタ扱い演出に続いて、東京五輪全体の人権意識の欠如を世界に向けて発信する結果となった。

 小山田は1969年、東京生まれ。父は歌謡コーラスグループ「和田弘とマヒナスターズ」の故三原さと志で、親類縁者にも音楽関係者が多数。小学校から高校まで和光学園に通った。その後、89年に中学時代の同級生の小沢健二(53)とフリッパーズ・ギターを結成しメジャーデビュー。以後、「渋谷系」と呼ばれる人気ミュージシャンだ。

「80年代後半から彼らは、洋楽の『ネオアコ(ネオ・アコースティック)』系の影響を受け、おしゃれで洗練されたポップスをやっていました。当時はサブスクなんてありませんから、最先端の洋楽を聴くには、レコード・CDを買うしかなかった。彼らが洋楽に造詣が深かったのは、やはりお坊ちゃまだったからだと思います」(音楽業界に造詣の深い構成作家のチャッピー加藤氏)

 そんな恵まれた環境と非人道的行為の落差に驚くが、「90年代のサブカル界で、あえて悪趣味で露悪的な発言や行動をとる『鬼畜系』ブームがありました。『ロッキング・オン・ジャパン』での、いじめ自慢発言はその流れだったのかも知れませんけど、当時読んで正直ドン引きしましたし、気分のいいものではなかった。小山田さんが本当に反省の意を表したいなら、今さら被害者に直接謝罪するよりも、ミュージシャンなのですから音楽で返すしかないでしょう。楽曲の収益をパラリンピック支援団体に寄付するとか。うわべだけの反省は意味がないように思います」(前出の加藤氏)。

障害児童の年賀状をさらしものに

 小山田については障害者支援団体である一般社団法人「全国手をつなぐ育成会連合会」も18日、声明を発表し「小山田氏の行為は極めて露悪的である」「なぜ小山田氏が楽曲提供担当となり、留任させることにしたのか」と強く非難。東京五輪・パラリンピック組織委員会は問題発覚後も「引き続き貢献してもらいたい」と留任の意向だったが非難の声に押される形で小山田の辞任を受理。武藤事務局長は「判断が甘かった」と謝罪し、小山田の楽曲も使用しないことを発表した。

 自身も障害児の父親である動物写真家で、YouTuberとしても活動する小原玲氏はこう憤る。

「親とすれば子供が学校でこんな目に遭っていたと思うと言葉がありません。私が当該記事を読んで涙が出たのは、障害児童が小山田氏に出した年賀状を雑誌でさらして笑いものにしたことです。その年賀状にはお母さんが定規で線を引いてそれに沿って児童が鉛筆で稚拙ながらも文をしたためていました。それを大人になってからかうとはどんな神経か。親がどんな思いで友達に年賀状を出すかわかりますか。子供が少しでも学校で友達に恵まれるようにという願いからですよ。こんな人物が手掛けた楽曲がパラリンピックで流されるなんてブラックジョーク過ぎる。トラウマになってしまいかねない。たとえ27年前のことであっても許される話ではない」

 小山田は生涯、自身が犯した罪の十字架を背負うしかない。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  2. 2

    松本潤、櫻井翔、相葉雅紀が7月期ドラマに揃って登場「嵐」解散ライブの勢い借りて視聴率上積みへ

  3. 3

    遠山景織子 元光GENJI山本淳一との入籍・出産騒動と破局

  4. 4

    低迷する「べらぼう」は大河歴代ワースト圏内…日曜劇場「キャスター」失速でも数字が伸びないワケ

  5. 5

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  1. 6

    反撃の中居正広氏に「まずやるべきこと」を指摘し共感呼ぶ…発信者の鈴木エイト氏に聞いた

  2. 7

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  3. 8

    キンプリが「ディズニー公認の王子様」に大抜擢…分裂後も好調の理由は“完璧なシロ”だから 

  4. 9

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  5. 10

    朝ドラ「あんぱん」教官役の瀧内公美には脱ぎまくった過去…今クールドラマ出演者たちのプチ情報

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「餅」で尿意ストップ! 映画の途中にトイレで席を立ちたくないなら

  2. 2

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  3. 3

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  4. 4

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  5. 5

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  1. 6

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  2. 7

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  3. 8

    広島新井監督がブチギレた阪神藤川監督の“無思慮”…視線合わせて握手も遺恨は消えず

  4. 9

    自民にまた「政治とカネ」問題!太田房江氏に選挙買収疑惑、参院選公認めぐり大阪でグチャグチャ泥仕合

  5. 10

    イケイケ国民民主党に陰り? 埼玉・和光市議補選は玉木代表が応援も公認候補まさかの敗北