エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず
演歌のCDを出したい
100歳まで元気でやりたいことをやるには体も大事。それには食べ物です。料理も好きですから20歳の頃に調理師と栄養士の免許を取り、自分の体のために生かしてきました。普段はスーパーで買い物をして自炊です。世界中の料理が作れます。エジプト、レバノン、ブラジル……。お酒はさんざん飲んだので70歳でやめました。
おかげで足はこんな状態ですが、他はどこも悪くない。先日受けた人間ドックで血液は何の問題もなく、胃は「40代」と言われました。
楽しいことしかやらないのもよいのでしょう。エジプト考古学に加え、土日は絵や小説をかいています。朝4時起きでね。詩も書きます。友人がそれにメロディーを付けてくれてもう30曲ほどできています。校歌として歌われているものもありますし、あとは演歌。死ぬまでにやりたいといえばこれらの歌でCDを出したい。美声ではないですが、一生懸命歌えば歌に込めた思いは伝わると思っています。
結局、みんなに喜んでもらいたいんですね。テレビや講演でエジプト遺跡の調査・発掘の夢を語っていたのもお金のためでもありますが、みんなに喜ばれたかったという動機もありました。喜んでもらうには他の人と同じ考えを持たないこと。同じことを考え、発言していても誰も聞いてくれませんから。 (聞き手=中野裕子)
▽吉村作治(よしむら・さくじ)1943年2月、東京都出身。工学博士(早稲田大学)。2021年から東日本国際大学総長を務める。最新刊「米子の教訓 エジプト考古学者を育てた母の言葉」 東京・新宿で両親、妹の4人家族で育った吉村さん。両親は友禅染の職人で、和服製作と直販を行っていた。優しい父に比べ、怖くてとっつきにくく、たまにおちゃめな母・米子(よねこ)だったが、夢を追う息子の意思を尊重し尻を叩き続けた。そんな母の金言・名言・毒舌の数々を披露。(アケト出版刊、2月20日発売、2000円)