「反逆の人生」を生きた音楽プロデューサー小西良太郎に会いたかった
小西良太郎(2023年5月13日死去、享年86)
この人には会いたかった。テレビの歌番組で飄々と語る風情に惹かれ、演歌についてじっくり話したいと思っていたのである。一緒に出ていた吉永みち子に尋ねたら、番組以外では話したことがないということだったが、とても感じのいい人だったとか。
亡くなった後、あるいはと思い、私の従弟の若草恵にも電話した。作曲兼編曲家の若草は母親が私の母の妹である。
「何だ、まこちゃん、もっと早く言ってくれたら、よかったのに。ずいぶん世話になったんだ。日本レコード大賞などの改革にも尽力した人だよ」
『俳句界』の「佐高信の甘口でコンニチハ !」に登場してもらいたいと思いながら、先延ばししている間に逝かれてしまった。
自称「はやり歌評判屋」というのもいい。
高校を卒業して『スポーツニッポン』新聞社にアルバイト採用された。雑用係のいわゆる「坊や」である。正社員となった後は、文化部長、運動部長、編集局長を歴任し、常務取締役にまでなった。
訃報で私はその履歴を知ったが、そんな重々しさはテレビの画面からはまったく感じられなかった。