「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」から考える 映画界で昭和レトロブームが続く背景
11月17日から公開されている映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」。これは原作者・水木しげるの生誕100周年を記念して作られた「ゲゲゲの鬼太郎」シリーズの新作アニメーション映画である。しかもPG12指定も受けた、どちらかといえば“大人向けホラー”なのだ。
主人公は帝国血液銀行に勤める水木と、失踪した妻を捜す鬼太郎の父。ただしこの父親は、誰もが知っている“目玉おやじ”ではなくて、目玉だけになる前の人間と同じ姿をしている。彼らは日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族に支配された哭倉村へ赴き、一族の秘密に触れていくというのがあらすじ。
時は昭和31年。龍賀一族の当主・時貞が亡くなり、彼が残した遺言状をきっかけに連続不審死事件が起こる展開や、外の世界と隔絶された山間の村という設定は、横溝正史の小説「犬神家の一族」や「八つ墓村」を思わせる。つまり水木や鬼太郎の父は、秘密を探る名探偵・金田一耕助的な役割も果たすのだ。