”勘違い”を大事にして 阿部サダヲはどんな役も生き生きと演じてきた
「なかなかできないですよね。でも、いつかやりたいと思ってます。できるようになればいいですよね」
(阿部サダヲ/NHK「あさイチ」7月12日放送)
◇ ◇ ◇
小劇場出身ながら、大河ドラマの主演を務めるなど、いまや日本を代表する俳優となった阿部サダヲ(54)。所属する劇団「大人計画」主宰の松尾スズキからは「下からまぶたを閉じてみて」だとか、「天井歩いてみて」といった、できるはずのないムチャ振り的な演出を受けることもあるという。それを聞いたときのことを回想して語った言葉を今週は取り上げたい。
阿部サダヲはもともと、野球少年だった。プロを目指していたが挫折。それまで野球のことだけを考えていたため、何をしていいか、分からなかった。とりあえず大手家電量販店に就職するも、上司に「退職届の書き方」という本を渡されるほど無気力。その後は、コンサートの警備員、居酒屋、トラック運転手など数々のバイトを「死んだように」渡り歩いていた。
そんなとき、「いま、小劇場が熱い!」という深夜番組の特集を見て、興味を持ち、大人計画のオーディションを受けたのだ。