NHK「サラメシ」最終回 14年間“ランチの数だけ物語があった”
先週13日、「サラメシ」(NHK)が最終回を迎えた。スタートは2011年5月。サラリーマンの昼食にスポットを当てるというコンセプトも、中井貴一のナレーションも新鮮だった。
メインのコーナーは「〇〇に昼が来た!」。企業や個人の昼食を軸にしながら、仕事ぶりや家族とのつながりも紹介していた。他に視聴者からの投稿コーナー「みんなのサラメシ」などが並んだ。
中でも番組名物とも言えるのが「あの人が愛した昼メシ」だ。今は亡き著名人が愛した品々を取り上げ、その人の歩みや人柄にも触れていく。
いくつか記憶に残る人とメニューがある。名優・笠智衆が大好きだった北鎌倉「光泉」のいなりずし。淀川長治が試写会の帰りに立ち寄った赤坂「うなぎ奈加川」のうな重。松本清張が足しげく通った西荻窪「こけし屋」のポークカレーなどだ。ぬくもりのある〈素顔の人物伝〉になっていた。
最終回には沖縄・首里城の再建に携わる漆職人や、小豆島で昔ながらの醤油造りに励む職人らが登場。最後だからと特別な趣向を施さず、いつも通りに徹していたことに美学を感じる。14年間、制作してきたのはテレビマンユニオンだ。
エンディングのナレーションは「昼ご飯の番組なんて続かないと言われましたが、僕らは信じてみました。ランチの数だけ物語はあるはずだと」。まさにその通りだった。