下水を調査してウイルスの感染状況を把握する取り組みが進んでいる
新型コロナウイルスの「下水サーベイランス」についてお話しします。 下水の中にはヒト由来の新型コロナウイルスが存在します。ですから、下水サーベイランス(下水中のウイルスを検査・監視すること)により、地域の新型コロナウイルス感染症の蔓延状況の把握や、特定の施設における感染有無の探知などを行い、効果的・効率的な対策につなげられる可能性があるのです。
実際、国内外の多くの地域で下水サーベイランスに関する研究・取り組みが実施されています。下水中のウイルスの検査は、ヒトから検体を採取する必要がなく、下水試料の検査で新型コロナウイルスの感染状況を把握できる可能性があります。
ただ一方で、検査工程の確実性や検出精度などの課題もあると指摘されています。
下水サーベイランスは、海外でも多くの国が取り組んでいて、オランダでは国内にある300以上の下水処理場で、スコットランドでは106の下水処理場でいずれも週1回の調査を実施し、分析結果が一般公開されています。
国内においても複数の自治体で下水サーベイランスが行われています。大分市や養父市のホームページでは地域における最新の状況を確認することができますし、小松市や札幌市のホームページでは、新型コロナウイルスに加えてインフルエンザウイルスのサーベイランス結果も公開されています。