「大軍都東京」黒田涼著
「大軍都東京」黒田涼著
魚河岸は、以前は日本橋にあったが、関東大震災で壊滅的な被害を受け、築地に移転した。
その築地市場の広大な敷地は明治初期に海軍が発祥した地だった。幕末には名古屋藩徳川家、広島藩浅野家、淀藩稲葉家、一橋家などの大名屋敷があったのだが、海防の必要性に気づいた幕府は、1857年、その北側に軍艦操練所を設ける。
これを契機に築地と海軍の縁ができ、明治維新後、この地一帯がすべて明治新政府の海軍用地となった。1872年には海軍省ができて、これが日本海軍の発祥となった。
ほかに、練兵場だった代々木公園、軍服工場があった赤羽など、軍都・東京の戦争遺跡を紹介する。 (笠間書院 2200円)