33年前の「フライデー襲撃事件」で報じられなかったこと
風格漂う旧講談社ビルの左側に沿って行くと、そこには警備員室があり、当然、真夜中に男たちの集団がワンサカと現れたのだから、慌てて警備の人が飛び出してきたのは、いたく当然のことであったろう。
その警備員の表情が次に仰天へと一瞬にして変化すると、「あ、たけしさん? 軍団さん? あ、ご苦労さまです」と丁寧に頭まで下げてくださったのだった。さらに編集部へ行くエレベーターを尋ねると、律義にもエレベーターの前まで誘導してくれたのである。確かにフライデーとしても、よもや夜中にぶちのめされるとは、露ほどにも思っていなかったから、警備に連絡していなかったのだろう。
フライデー編集部のある階でエレベーターを降りたわれわれ12人は右側へと進み、不思議なほど冷静に編集部の扉を開け、たけしさんが「フライデーの編集部はここか」と、静かに対応に出た女性に尋ねたのだった……。しかし、その女性の返答に12人はポカンと口を開けたまま、その場に立ち尽くすことになったのだった。 (つづく)