ボストンで薬物検査…窮地を救ったのは阪神とフィルダー
俺のMLB観戦の旅はドジャースタジアムで世界のホームラン王、王貞治氏になりすましてサインをしまくったり、ニューヨークの地下道で禁煙自警団たちに追いかけられたりと自分でも予期せぬ方向へとズレていったのだが、そんな多くの記憶の中で一番焦り、まさしくこれはアメリカと感じた事件があったのだ。
あれは確か……ボストンの空港だったと思うが、相も変わらず、中野駅前の商店街サンモールでもフラフラと歩いているかのような俺の耳元にいきなり、「◎?△凸●〇☆←?」と早口のマシンガンクラスの英語が連射されたのだ。振り向けばそこには身長190センチ近く、体重は優に150キロを超えていると思えるデップリと太った大男の黒人警官(マジ怖かった)が鼻先に人さし指を突きつけると、額にうっすらと汗を浮かべ、口からビシャビシャと唾を飛ばし語りまくっていたのだ。
いきなりのこの展開に俺の頭の中は95%くらい恐怖心から真っ白になったのだが、そんな中でもどーやらその大男が言わんとしていることは「すぐさまホールドアップして壁に両手をつけ!」ということだと辛うじて理解できたのだった。要するに、俺が違法な薬物でも所持していそうなので、ボディーチェックをさせろということのようである。