英BBCがジャニー喜多川の「少年虐待」を特集 番組制作に協力した私が言いたいこと
彼女はテレビ電話で、「なぜ、被害を受けた少年たちが声を上げないのか」と聞いてきた。私は、Netflixが放送した歌手マイケル・ジャクソンに子供のころ性的虐待を受けた元少年2人の告白番組(フェイクドキュメンタリーだという声もあるが)を例に出し、この国では、男が男から性的虐待を受けたと公表するのは、アメリカ以上に難しいと言った。
「なぜ逃げなかった」「合意の上だったのでは」などという心ないことを言う者もいるし、肉親からも「世間体が悪いからよしてくれ」と言われてしまうからだ。
それでも意を決して告白しようとしても、大新聞は傘下にテレビ局を持ち、大手出版社は少年少女向け雑誌を多く持っているから、ジャニーズに媚(こ)びへつらって取り上げない。
ジャニー喜多川の少年たちに対する性的虐待が大きな社会問題にならなかったのは、この国のメディアが意識的か無意識かにかかわらず、“共犯者”として加担してきたからだと私は考えている。そう話した。
喜多川が亡くなった翌々日の朝日新聞「天声人語」は、「これほど素顔を知られぬまま旅立った人も珍しいのではないか。(中略)(喜多川に=筆者注)ジャニーズらしさとは何かと尋ねると、『品の良さ』と答えたという」と書いた。ここまでくると無邪気というより無知というべきであろう。