英BBCがジャニー喜多川の「少年虐待」を特集 番組制作に協力した私が言いたいこと
BBCは3人の“被害者”のインタビューに成功した。その一人、30年以上前にジュニアだったハヤシ(仮名)は、うつむきながら、声を絞り出すようにして、あの日、喜多川からされた“悲惨な体験”を語った。今でも彼に対する感謝の気持ちはあるが、「感謝の気持ちと性犯罪は別なんだと思う」と、複雑な胸の内を明かしている。
ジャニーズ事務所側が取材に応じないのはBBCも織り込み済みだったはずだ。だが、取材したジャーナリストのモビーン・アザーによれば、NHKや民放、新聞、警察も「完全無視か丁寧な拒否」(文春)で、どこも応じなかったという。メディアは自らジャーナリズムであることを放棄したといってもいいだろう。
BBCのリポーターが言っているように「喜多川は死んでも守られている」ようだ。だが、その守っている人間の素顔が泥にまみれていたことを、彼らが知らなかったはずはない。(文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)