症状消えても完治ではない 歯の健康は「メンテナンス」が肝心
食欲は3大欲求のひとつ。おいしい食事を心ゆくまで楽しもうと思えば、歯の健康維持は欠かせない条件だ。ところが歯について正しい知識を持たないために、定年後、苦しんでいる人が珍しくない。
「定年後に“なんとかなりませんか”とクリニックにいらっしゃる男性が多いのですが、その時には“どうしようもしてあげられない状態”のことが多いのです」
こう話すのは、ヒナ歯科&ケアクリニック・能木場公彦院長だ。40歳以上の8割が歯周病だといわれている。歯周病対策は歯磨きだけでは不十分で、少なくとも年1回は定期的に歯科医院に行き、歯石除去などのメンテナンスを受ける必要がある。
歯周病の初期の症状としては、歯磨きの時に出血したり、冷たい物がしみたりする。やがて、歯肉の痛みが出たり、硬い物を食べると歯が痛くなったり、歯がグラグラしたりする。これらの症状が出てくる時は、歯周病がかなり進行している可能性が高い。
しかも歯周病は「サイレント・ディジーズ(沈黙の病気)」と呼ばれていて、一時症状が出ても、しばらくすると消え、何年か後にまた症状が出るパターンを繰り返す。症状が消えても「治った」のではなく、その間に早く手を打たなければ、確実に歯周病が進行していくのだ。