【うつ病】会社という組織がなければ病気と闘えなかった
ただひとつ、救いだったのは、創業した会社が毎月30万円ほどの給与を振り込んでくれたこと。
「社長職は引退しましたが、顧問という形で生活を支えてくれました。会社という組織の助けがなければ、病気と闘えなかったでしょう」
気分転換のため、朝方に無精ひげ、頭髪伸び放題の姿で散歩に出るが、10分ほどで自宅に戻ってきてしまう。デパートで買い物でもしてみるかと思い立ち、池袋まで出かけてジャケットを購入しようとした。しかし、どれを買っていいのか分からず売り場をウロウロするだけで、2時間かけても決められなかった。
「『無の状態』というのでしょうか。そうなった自分を責めてまた悩むんです。それまでは、群馬に住む母に1年に1度くらいは会いに行き、親父の墓参りも欠かさなかったのが、この8年ほどは実家を訪ねることもありませんでした」
越川さんの身に、さらなる難事が降りかかる。