深刻な感染症を媒介 豪雨の後は「蚊」の大量発生に要注意
「昼間は水田や雑草の茂みなどに潜み、日没後に活動が活発になります。日本脳炎ウイルスに感染した豚や鶏の血を吸ったコガタアカイエカが人を刺すことで、人に日本脳炎ウイルスを感染させます」
日本脳炎は以前、抵抗力の弱い子供や高齢者に見られた病気で、蚊に刺されて7~10日で突然、高熱、頭痛、嘔吐などの症状を示し、意識障害やまひといった神経系の障害などの急性脳炎を引き起こす。弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長が言う。
「日本脳炎ウイルスに感染しても多くの人は症状がありません。しかし、100~1000人に1人程度が脳炎を発症する。うち約20~40%が亡くなり、命を取り留めても神経障害が残ります」
コガタアカイエカの行動範囲はせいぜい2~3キロ。実際に日本脳炎で亡くなる人も少ないことから“自宅近くに豚や野鳥はいないし、大丈夫”と考える人もいるだろう。
しかし、甘く考えてはいけない。山口大学の前田健教授が全国のペットの血液を調べたところ、4割が日本脳炎ウイルスに感染していた。日本脳炎リスクは想像以上に身近に迫っているかもしれない。