著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

私自身がんに<1>膀胱の内視鏡画像を見たときのショック

公開日: 更新日:

 日本人男性の3人に2人が、がんになる時代です。がんにならない方が少数派で、「がんになることも前提にした人生設計が必要」などと書いてきました。しかし、たばこは吸いませんし、運動は毎日行っていて、体重も若い頃のままです。正直、自分が膀胱がんに罹患するとは思っていませんでした。「なぜ私が」と否認したい気持ちでした。

 膀胱がんは人口10万人当たり10人程度の発生率で、男女比は3対1と男性に多く、60歳以降の高齢層に多く見られます。危険因子として確立しているのは、特定の化学物質を除けば喫煙だけ。男性の50%以上、女性の約30%の膀胱がんは、喫煙のために発生するといわれます。コーヒーについては結論が出ていませんが、大きな影響はないと考えてよいと思います。

 非喫煙者の私がこのがんにかかった理由などありません。運が悪かったとしかいえないと思います。血尿が早期発見のカギになりますが、私の場合、尿潜血は陰性でした。

 自分自身で行った超音波検査が早期発見につながりましたが、一般の方には不可能ですし、頻度が低いためがん検診の項目にも含まれません。しかし、自分でできることはすべて行うべきだという教訓にはなると思います。

 昭和天皇の膵臓がんの手術を担当した大腸がん専門医の先輩に、定期的に自分で「直腸指診」をするようにアドバイスされたことがあります。「そこまでは」と思いますが、たとえば女性なら乳がんのセルフチェックくらいは行ってもらいたいと思います。次回は、手術後のことについてお話しします。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」