親にボケ防止習慣の無理強いすると逆にストレスになる
若いころからそのプログラムに親しんできた人はともかくとして、「認知症予防にいい」からと付け焼き刃的にはじめる高齢者にとっては、効果はきわめて限定的といっていい。そのプログラムの得点はトレーニングによって高まるが、他の知的能力が上がらないことは研究で実証されている。つまり、認知症の症状の進行を回避する可能性は低いと考えるべきだし、高齢の親にとっては大きなストレスになる場合もある。大切なことは脳を悩ませながらも、高齢の親が機嫌よく続けられるプログラムであるかどうかなのだ。
冒頭で紹介した知人の母親のように活字に親しむことはもちろん、映画、音楽の鑑賞、囲碁、将棋、麻雀、依存症でなければ、競馬などのギャンブルでもいい。
「親の認知症の進行を防ぎたい」という子どもの気持ちは理解できる。だが、大きなストレスを与えるプログラムを強いることは、逆に認知症を進行させる可能性もある。子どもの自己満足で終わってはいけない。