親にボケ防止習慣の無理強いすると逆にストレスになる
彼が気に掛けるように、認知症を発症するとこれまで続けてきた趣味や習慣に変化が表れる。脳の萎縮によって、物事への興味、行動への意欲が低下することで生じる変化だ。衣食住についてのこだわりがなくなったり、知的関心がなくなったりする。このコラムで度々述べているが、それを回避するためには「脳を悩ますこと」が大切だ。とくに読書や新聞、雑誌の購読は有効だ。併せて、入力された情報を子どもや友人、知人に出力する機会が多ければなおいい。日記を書く、手紙を書く、詩を書く、俳句や川柳を詠むといった出力も同様だ。
■習慣を変えず入力&出力を
ただ、こうした情報の入力、出力といった行為は、高齢な親自身がこれまで親しんできた趣味、習慣の中で続けてもらうことが重要だ。
最近、テレビを中心にメディアが取り上げる脳トレなどの認知症対策法だが、高齢者のこれまでのライフスタイルを度外視して画一的に効果があるかのように紹介されている。長年、老年精神医学の現場で多くの臨床例に接してきた私自身、その効果については懐疑的だ。