COPDの新たなメカニズム解明 新治療法の登場につながるか

公開日: 更新日:

「たばこの有害物質で気管や肺胞に慢性炎症が起こり、肺胞が酸素を取り込めなくなる病気とは分かっていましたが、炎症は強いものではなく、これが原因か、それともCOPDによる結果か、メカニズムがはっきりしていませんでした。だから完治につながる治療法もありませんでした」

 対症療法しかなく、初診時にすでに重度の患者も多いので、死に向かうのをわずかに遅らせるだけ……という患者も珍しくなかった。

■有効な治療ターゲットになりえる2つのポイント

 今回、皆川医師らが発表した内容は、ごく簡単に言うと、「たばこの有害物質によって、肺の細胞内にある本来無害な鉄が有害な鉄へ分解。それによって細胞膜を構成する脂質が酸化し、細胞死に至り、COPDを発症する」。

「もともとCOPDの患者の肺では、喫煙で肺の上皮細胞が障害され、細胞死が存在することは明らかになっていました。このメカニズムを解明したことになります。まずは、細胞死には鉄とリン脂質が関係していて、有害な遊離鉄によって細胞膜のリン脂質が酸化し、細胞死を引き起こす“フェロトーシス”が生じる(図中(1))。では、有害な遊離鉄はどうしてできるのか? 本来、細胞内の鉄はフェリチンという安定・無害な状態で貯蔵されていますが、細胞内タンパクの分解機能オートファジー機構で有害な遊離鉄へと分解されるのです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」