緩和ケアには延命効果 病棟の順番待ちを諦めてはいけない
●患者の15%以上が在宅や診療所に退院する。
厚労省としては、最初の基準設定によって待ち時間を短くして回転率をよくし、順番待ちの解消を狙ったのでしょうが、実際は違います。なるべく入院希望の意思表示を出すのを遅らせたり、保留させたりした上で、できるだけ退院してもらうようにする施設が少なくないのです。
なぜか。そうやって2つの条件をクリアすれば同じ人に同じ治療をしても、より高い診療報酬を請求することができますから。これが、順番待ちの問題に影響していると思います。今の基準は問題でしょう。
転移のある肺がん患者151人を対象に、抗がん剤治療を行うグループ74人と抗がん剤治療に加えて緩和ケアグループに分けて、症状や生存期間を比較。すると、緩和ケアグループは、緩和なしグループに比べてうつ症状が有意に少ないばかりか、生存期間が3カ月上回っていたのです。
緩和グループは、治療開始から3週間以内に緩和ケアチームが患者に面談。その後は月に1回以上、痛みの治療や精神的なケアを行っています。