脂肪細胞に原因が…肥満のダイエットが難しいのはなぜか?
健康診断で「肥満」と言われれば、誰でも痩せようとダイエットを始めます。しかし、ほとんどの人は三日坊主で終わりますし、いったん成功しても、短期間でリバウンドしてしまうことが多いのが実際です。ダイエットに失敗した太めの皆さんは、「自分の努力が足りない」ことを責めるのですが、本当にそれは個人の責任でしょうか? 肥満の人が痩せることが難しいのは、精神力以外にも原因があるのではないでしょうか?
その原因のひとつと考えられているのが、脂肪細胞の燃えにくさです。余分なエネルギーを人間の体は脂肪細胞の中に、中性脂肪として蓄えています。その脂肪が熱のエネルギーに変わるのが、「脂肪が燃える」という状態です。運動をしても、容易に脂肪は燃えません。しかし、たとえば凍えるほど寒くなると、体は身を守るために脂肪を燃やして熱に変えます。つまり、条件によっては、脂肪は意外に簡単に燃えるのです。
今年の生物科学の専門誌に掲載された論文によると、肥満で体に増える「終末糖化産物」という物質があり、それが脂肪細胞に結合すると、脂肪が燃えなくなる、ということが分かりました。少し食事を減らしてダイエットをしても、脂肪細胞はもう脂肪が燃えない状態になっているので、効果はあまりないのです。
肥満が解消しない原因は、どうやら脂肪細胞自体にありそうです。