アモーレと明るく愛の歌を歌い続ける発声は若返りのもと
2年前、コンサート「カンツォーネ大会」で優勝した時、熱海の地元紙が、「老人ホームに入居している女性が優勝した!」と報じた。熱海の市長から「熱海の誇り」と書かれた手紙が送られてきたという。
「舞台に出る時は髪に生花を飾り、ドレスアップし、照らされたライトの前で、会場にとどろくような音声で歌う。聴衆は、まさか88歳とは思えないでしょう。これがイタリア式音楽療法の成果なのです」(戸山会長)
今井光子さん(88)もまた「イタリア式音楽療法」を信奉しているひとりだ。東京・恵比寿に住む今井さんは、シャンソンなどを歌っていた歌手だった。その後、一転してカンツォーネに転向したのは60代になってからである。
東京・渋谷にシャンソン歌手、戸川昌子が経営していたサロン「青い部屋」(1967~2010)で、今井さんは初めて、戸山英二氏が歌うカンツォーネを生で聴いて感動した。
すぐに弟子入りしてレッスンを積み重ね、ここ8年間は、東京・四谷の弘済会館で年に2回、200人ほどのファンを集め、ソロコンサートを開催している。