著者のコラム一覧
和田秀樹精神科医

1960年6月、大阪府出身。85年に東京大学医学部を卒業。精神科医。東大病院精神神経科助手、米カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。著書多数。「80歳の壁」(幻冬舎、税込み990円)は現在、50万部のベストセラーに。最新刊「70歳の正解」(同)も好評発売中。

注目されている「認知症カフェ」の有効活用術

公開日: 更新日:

 台風一過。久々に晴れた日の朝、自宅近所のコーヒーショップでほほ笑ましいシーンに遭遇した。3人ずつ、おそらく、ふたつの家族と思われる6人が穏やかな表情で談笑している。その2家族は親しい間柄なのだろう。1組は車椅子に乗った90歳前後の男性とその娘とおぼしき60代の女性と30歳前後の女性。もう1組は90代女性、60代男性、そして30代半ばの女性。それぞれ親、子ども、孫の3代と思われた。

 聞き耳を立てていたわけではないが、聞こえてくる会話やその様子から判断して、高齢の2人は認知症と推察された。「あれ、忘れちゃった?」「おばあちゃんわかる?」「今日は何曜日だっけ」などと認知症の親、祖父、祖母に語りかける。決してコミュニケーションはスムーズではないが、一人としてヒステリックな声を上げることはない。認知症と思われる高齢者もそれぞれ「そうだったっけ?」「忘れちゃったよ」などと応えるが、笑みを絶やすことはない。6人それぞれが穏やかな表情でその時間を楽しんでいるように私には思われた。

 認知症になると多くの場合、人と会うこと、外出することに対して消極的になる。また、その子どもや孫も、相手の迷惑、事故の危険性などを考えて人に会わせること、外出させることに少なからずためらいを覚える。認知症の高齢者は、次第に家で一人で過ごす時間が多くなってしまう。その結果、脳を刺激する機会、日の光を浴びる機会、運動する機会が減る。これが認知症の進行を速めてしまうことになる。デイサービスはその意味でも有効なのだが、回数が限られる。この家族のように、機会を見つけてどんどん外出の機会、会話の機会をつくるべきだ。認知症の高齢者はもちろん、介護する家族にとっても気晴らしになることは間違いない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 2

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 3

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  4. 4

    大阪万博「遠足」堺市の小・中学校8割が辞退の衝撃…無料招待でも安全への懸念広がる

  5. 5

    「クスリのアオキ」は売上高の5割がフード…新規出店に加え地場スーパーのM&Aで規模拡大

  1. 6

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

  2. 7

    「ダウンタウンDX」終了で消えゆく松本軍団…FUJIWARA藤本敏史は炎上中で"ガヤ芸人"の今後は

  3. 8

    189cmの阿部寛「キャスター」が好発進 日本も男女高身長俳優がドラマを席巻する時代に

  4. 9

    PL学園の選手はなぜ胸に手を当て、なんとつぶやいていたのか…強力打線と強靭メンタルの秘密

  5. 10

    悪質犯罪で逮捕!大商大・冨山監督の素性と大学球界の闇…中古車販売、犬のブリーダー、一口馬主